親の遺品に触れられないとき──心の準備が整うまでにできること

親の遺品整理は、ただの片付けではありません。
「触れようとすると胸が苦しくなる」「何から手をつければいいか分からない」そんな想いを抱える方はとても多いです。

遺品整理には、作業そのものよりも“心の準備”が必要なタイミングがあります。

この記事では、今はまだ遺品に触れられないあなたのために、 心の負担を軽くしながら準備を進める方法 をわかりやすくまとめました。

まず前提として──“触れられない”のは自然なことです

遺品整理は、気持ちに大きな負荷がかかる行為です。
特に親の遺品は「思い出」「喪失」「後悔」「感謝」など多くの感情を刺激します。

そのため、今は触れられない自分を責める必要はまったくありません。

むしろ、心の整理なしに無理に進めると、途中で手が止まったり、気分が落ち込んでしまうこともあります。

心の準備としてできる “小さなステップ”

心理的負担を減らすには、遺品に触る前の「準備段階」を整えることがとても重要です。

① 遺品整理の目的を明確にしておく

「なぜ片付けたいのか？」
理由がぼんやりしていると、気持ちがブレて苦しくなります。

例：

• 実家を安全に保ちたい
• 相続や手続きを進める必要がある
• 誰かにとっての思い出を守りたい

目的が1つでも言葉にできれば、心がぐっと軽くなります。

②“見るだけ”のステップから始める

いきなり触る必要はありません。

• 隣の部屋から見る
• 開けてみるだけ
• 箱の位置を動かすだけ
• 写真を1枚だけ見る

「触れないなら、触れられる部分から」これでOKです。

③ タイマー（5分・10分）を使う

長時間やろうとするほど気が重くなります。
まずは「10分だけ」というルールが有効。

終わらなければ、続きはまた今度でいいんです。

④ 感情が揺れる品は“保留箱”へ

大切な物ほど、今すぐ判断できません。
そのため「判断しない箱」＝保留箱 を作ると楽になります。

残す／手放す／迷う
この3分類にし、迷うものはぜんぶ保留箱へ。

⑤ ひとりで抱え込まない

遺品整理は、「やる気の問題」ではなく「支えの有無」で負担が大きく変わります。

• 友人に立ち会ってもらう
• 家族に30分だけ来てもらう
• 業者に“仕分けだけ”頼む

全部ひとりで背負う必要はありません。

“触れられない状態”が長く続くときのサイン

遺品に触れられない時期が続くことは悪いことではありませんが、次の場合は無理をしない方がいいです。

• 親を思い出すたびに気分が落ちる
• 実家に行くのがつらい
• 他の家族から急かされて焦っている
• そもそも、何から手をつけていいか全く分からない

これは「心の負担が大きくなりすぎているサイン」。

そんなときは、プロに「寄り添い型のサポート」だけ頼むという方法もあります。

無理のない進め方を選ぶことが、結果的に“前に進める力”にな

遺品整理で重要なのは、「どれだけ進めたか」より「どの気持ちで向き合えたか」です。
ゆっくりでも、少しずつでも、あなたが前を向けるスピードで十分。
“今の自分のペース”で取り組むことが、 最終的に最も確実に進められる方法です。